外部性の断末魔

 7月は結局研究発表2本になる模様。しかも、頼まれもしないのに大げさなことにしてしまった。

 時限爆弾と化している翻訳、カウントダウンが始まらぬうちに(いや、始まっているのか?)手をつけて、少しずつ進めようと決心。しかし、一ページ目でいきなりこれを読んでないことの気づき、読み始めたら日が暮れた。

宇宙の孤児 (ハヤカワ文庫 SF 281)

宇宙の孤児 (ハヤカワ文庫 SF 281)

 ロバート・A・ハインライン1941年の作品(最近、はまぞう君で表示すると、訳者が「作者」として出てくるので困る。なんとかしてください*1)。何かと言うと、ずっと前(一年くらい前か)にここでも触れた、これ

Non-Stop (Millennium SF Masterworks S)

Non-Stop (Millennium SF Masterworks S)

の先行作品なのであります(Non-Stop=Starshipは1956年作品)。忘れ去られた宇宙船の内部に生じた、民俗学的世界。

 かつてのSFが、地理的外部性の想像という機能をどれだけ負っていたかということを考えると、いわゆるニュー・ウェーブSFはその断末魔だったのではないかと思う。そしてその断末魔に、この「小宇宙化した忘れられた宇宙船もの」は強力な物語的枠組みを与えたのではないだろうか。オールディスはその「終わりの始まり」であろう。その、地理的外部の消滅を決定づけたのはバラードの『結晶世界』(66年)だろうと勝手に思っているのだが、このマッピングは間違っているかもしれない。

 というわけで、翻訳は数行しか進まず。

*1:なんとかしてくれたみたいです。