エルドリッチ化する世界

 静かに続くお祭り。

 1965年の作品。代表作のひとつと目されるだけあって、かなり精巧な作りになっているが、おしい。どうも後半〜結末は納得がいかない。道具立てはすばらしいのに。「ミイラ取りがミイラになった」式のプロットは『スキャナー・ダークリー』に通ずる。

 アシッド・ノベルなどと分類されるらしいが、ドラッグの幻想を、幻想として描くのではなく、具象の中に突然発露するものとして描くところが不気味さをかきたてる。

 さて、次は何を読むかな。しかし、ディックの「内向SF」を読み続けるのはけっこうこたえる……