2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ひどい映画の効用〜『The Son/息子』(2023)

フローリアン・ゼレールの監督デビュー作『ファーザー』は本当にすばらしいと思ったので、これも当然観ているべきなのですが、なぜか嫌な予感がして敬遠したままになっていたところ、最近複数の人に「観ていないの」と言われたのでやっと観ました。私の勘は…

『闇の奥』についてのメモ

昨日は職場の主催のシンポジウムで帝国主義・植民地主義をめぐる5時間+懇親会。大変に濃密でした。 その中で、中井亜佐子さんが『闇の奥』と採取/採掘主義(extractivism)についてお話をされていて、最近考えていたことにとても強く響いたのでメモ。 中井…

『ハイキュー!!』についての暫定的メモ

どうも映画が公開中の『ハイキュー!!』が気になり始め、とりあえずアニメ版を見始めてますが、これは(昨日ちょうど日本スポーツ社会学会のシンポジウムでテーマになった)スポーツと男性性の表象という意味でとても重要な作品かもしれないと思い始めてま…

『デューン 砂の惑星PART2』(2024)

原作からデヴィッド・リンチ版と、思い入れの強い作品なので色んな先入観が介在するのですが、ともかくも公開日にIMAXで。IMAX必須。 ヴィルヌーヴ作品って、美しくて完成度が高いけど(そうであるがゆえに)、表面がツルツルでひっかかりがない印象があり、…

猫の逆襲〜『ARGYLLE/アーガイル』(2024)

『枯れ葉』『落下の解剖学』と、犬映画の攻勢が強まっていた昨今ですが、ついに猫映画の逆襲です。というわけで『アーガイル』。 『キングスマン』シリーズのスピンオフですが、私は本シリーズの方は一作目はとても好きなのですがその後はぱっとしないな、と…

犬の年〜『落下の解剖学』(2023)

猫派の私としては複雑な気分ですが、立て続けに素晴らしい犬映画が公開されました。『枯れ葉』に続いて、『落下の解剖学』の盲導犬スヌープ。最高。 というわけで、パルム・ドールとパルム・ドッグをダブル受賞したジュスティーヌ・トリエ監督の『落下の解剖…

『ボーはおそれている』(2023)

この映画についてはこの後映画評を書くので、肝心なことは書きませんが、私、ホラー映画は怖いので好きではなく、アリ・アスター監督の『ヘレディタリー/継承』も『ミッドサマー』もそんなに好きではない、というか『ミッドサマー』なんて『ウィッカーマン…

『アメリカン・フィクション』(2023)

しばらく諸々で忙しすぎて映画館に行く暇もなければ家で映画を見る暇もなかったのですが、そんな合間にこちらを。 黒人の作家が、自分の純文学指向をかなぐり捨てて、おふざけで書いた「黒人的」小説──白人たちが期待するような「黒人的」内容の小説──が大ヒ…