沈む船のマストに登って叫ぶけだもの

 土日出勤、本日は3コマと今週の公開講座の準備など(ミホール・オシールというアイルランドの詩人がやって来ます)。卒論の締切が近づいてきたので添削三昧。目眩がしてくる。

 子供が熱を出す。例によってちょっと下がったら調子に乗って遊び、ぐったりのくり返し。食欲はあるので大丈夫だろうけど……

 などとゴチャゴチャしているうちに、非常に重要なことをぽっかりと忘れてしまう。不覚。

 最近届いた本。斜め読みですが。

Upward Mobility & the Common Good: Toward a Literary History of the Welfare State

Upward Mobility & the Common Good: Toward a Literary History of the Welfare State

 やられたよ。私の博論のタイトルには、まさに"upward mobility"の二語が入る予定だったのだ。幸いそのプランはどこかへ行ってしまったけど(テーマとして捨ててはいないが)。Bruce Robbinsさんは比較文学だけあって、というか、比較文学の枠も超えて、縦横無尽。まともに『大いなる遺産』を論じるかと思えば『羊たちの沈黙』をパラダイム的な作品として持ちだしたり。

 ただ、階級上昇物語ということで私が論じようと企んでいた作家たち(フォースター、ウルフ、マンスフィールドオーウェル)は扱われていない。そんな直球はなしよ、ということか。

 最終的には移民作家による階級上昇物語の利用、というか、第一世界の福祉国家から排除される第三世界という問題に切り込んでいく。それほど切れ味が鋭いとも思えないが。

 恥ずかしながらRobbinsさんの著作は初めて読むのだが、なかなか破天荒で面白いかも。戦間期中産階級の保守性研究で有名な方が召し使い論を出したことも視野に入れつつ、これも気になる。

The Servant's Hand: English Fiction from Below

The Servant's Hand: English Fiction from Below