備忘

 ここ数日、やけに忙しい。毎日のように複数の会議。本を読む暇もなく悲しい日々ですので、購入本、拾い読み本をいくつか。

文化と社会―1780‐1950 (ミネルヴァ・アーカイブズ)

文化と社会―1780‐1950 (ミネルヴァ・アーカイブズ)

 「界隈」のみなさんはご存じでしょうが、再刊されました。元の翻訳は1968年。これが入手可能になったのは慶賀すべき事態。再刊版の「追記」は、2004年末の日付になっているが、『キイワード辞典』(1980年訳)が新たな翻訳として触れられているのに2002年に出ている『完訳キーワード辞典』に触れられていないのはどういうことなのだろう。

新自由主義は文学を変えたか―サッチャー以後のイギリス (比較経済研究所研究シリーズ)

新自由主義は文学を変えたか―サッチャー以後のイギリス (比較経済研究所研究シリーズ)

 イギリス文化教科書プロジェクトは70年代まで行ったので、次(80年代)はこれなんてどうでしょうね。そろそろポピュラー・カルチャーは食傷気味で、「文学」にも目を向けたい、という転倒した状況ですし。

 ところでまた新たな「マニフェスト」本。やはり来てますな。某誌コラムの次(最終回)のお題は決まりか。

Modernism, Race and Manifestos

Modernism, Race and Manifestos

 これは、これまでの注目すべきマニフェスト研究(LyonやPuchner)が「人種」を問題にしてない、という、その一点をついた本。マニフェストは「私たち」という共同体を生成する言語行為なわけだが、これまでの研究ではそこから排除された人種の問題が死角に入っていると。しかし、長いイントロダクションを途中まで読んだかぎりでは、「マニフェストポスト構造主義のレンズを通して見る」などと臆面もなく書けてしまう感覚に、あきれかえるしかない。今マニフェストが注目されるのは、まさに「ポスト構造主義」という命名に表されているような問題構成からこぼれ落ちてきたものを、「ポスト構造主義」を学び捨てることによって再問題化する可能性があるからなのに。この点、Puchnerの野蛮さの方が好感が持てる。

Manifestoes: Provocations of the Modern

Manifestoes: Provocations of the Modern

Poetry of the Revolution: Marx, Manifestos, And the Avant-gardes (Translation/transnation)

Poetry of the Revolution: Marx, Manifestos, And the Avant-gardes (Translation/transnation)

追記:これも気になる。まだ入手もしてませんが。

The Historicity of Experience: Modernity, the Avant-Garde, and the Event (Avant-Grade and Modernism Studies)

The Historicity of Experience: Modernity, the Avant-Garde, and the Event (Avant-Grade and Modernism Studies)

追追記:今、蔵書目録を見て愕然。この本、持ってる……。
追追追記:なぜ愕然とするかというと、そろそろ3,500冊を超えようとしている蔵書をすべて記憶しているわけではないけれど、著者と書名を見れば「持っているかどうか」だけは分かるつもりだったので。