昨日は、ひとつ講義を終えた後に同志社へ行き、「モダニズム研究会」。お題はこれ。
- 作者: Wyndham Lewis
- 出版社/メーカー: Black Sparrow Pr
- 発売日: 1993/06/01
- メディア: ペーパーバック
- この商品を含むブログ (1件) を見る
エズラ・パウンド、ガートルード・スタイン、ジェイムズ・ジョイスに対する批判の部分を読む。
感想としては、この人、現代に生まれていたらブログで毎日人の悪口を書き続ける人になっていただろう。名前を出すのがはばかられるあのお方を思い出したりして。
もうちょっと真面目なところでは、どの程度ロジックが通っているかは別として、ルイスのRomantics批判とはすなわちベルクソンを吸収した「時間の哲学派」批判となっている。「時間の哲学」は、ベルクソンやモダニズム文学にいたって現実との接触を欠くほどのアブストラクションを行ってしまっており、芸術として「死んで」いる、と。
少しずらせばこれは、正統的マルクス主義(ルカーチ?)による表現主義批判と一脈通ずるものになっているのだ。
研究会を早々に引き揚げ、同じく同志社で行われていた映画の上映会へ。グルジアの映画監督アレクサンドル・レクヴィアシュヴィリによる『The Last』(2006年)。
人口1000人程度(レクチャーによるとその後一年たらずで500人くらいに減ってしまったらしい)の寒村での生活をひたすら描く。台詞はほとんどなし。その代わり、生活の「音」が音楽的リズムをもって響き続け、観客はそのリズムに身をゆだねながら淡々とした日常の「作業」を見続けることになる。
レクチャーをした批評家の言うような映画の美学的部分はよくわからないが(というか、正直、「言葉のない」映画を観た後ににあれだけの「言葉」を聴きたくはなかったような)、「田舎の生活」が美化されて止まない現代日本では観られる価値のある映画だと思った。ただ、日本で同じ事をやったら説教たらしいナレーションが入って、映画としての力を失った官製ドキュメンタリーになってしまうかもしれない。
ここのところの強行日程に体力の限界を感じながらも飲み会。あえなく途中で抜け出す。
そして本日は3コマ+会議×2。頭が働かないので、もう寝て明日仕事しよう。