玄関を通って

 意味もなくぼやかしていましたが、ご察しの通り急遽帰省。入院中の父を見舞うのが主な目的。

8月7日

 郷里の山口へ。今回は車で行くのは止めた。炎天下で7時間車に乗せるのは怖かったのもあり。というわけで新幹線初体験(私ではなくもちろん子供たちが)。

 公共交通機関を使うのは運転しなくていいから楽かと思いきや、大変。途中で寝てくれたし、最寄りの新幹線駅からはレンタカーだったのでよかったが、姉は新幹線が走り出すなりハイテンション。妹は途中からずっと不機嫌。新幹線内での食事(離乳食)も初体験。

 両親ともぐったりとして到着。子供を少し休ませて見舞いに。父はかなり痩せていてびっくりしたが、病気のせいというより病院食のせいらしい。しかし、癌という病気は本人にも周りにもいろいろと考えさせてくれる病気ではある。(帰省中に出た検査の結果はしごく良好であった。)

 偶然にも、今回の帰省は郷里でのお祭りの季節にクリーンヒット。8日は「提灯祭り」なるものがあった。なつかしい。どういう祭りかというと、こういう祭り。

 商店街で、竹に提灯をぶら下げてめでるというもの。御輿も出ます。私が子供の頃は、この提灯に本物のろうそくを使っていたために、時々焼け落ちるというハプニング(もちろんハプニングは祭りに興を添えるわけだが)があったが、もう止めてしまったのか、焼けている提灯は見られなかった。

8月8日

 この日は昼時に見舞いに行き、子供たちが食事をする様子(手づかみで豪快に離乳食をむさぼる)を見せる。

 夜は花火大会。これも子供の頃からの定番だった。しかし、心なしか打ち上げる数が少ないような。不況で、花火大会のスポンサーが得られないためとの説。(写真は撮りましたが、案の定大失敗。)

8月9日

 この日も見舞い。帰りに「トイザらス」へ行き、ニンテンドーDSを購入。何かといえば、父への見舞い。一緒に買ったソフトは「えいご漬け」。退職後に英語の勉強をしているのである。

 試しにやってみたが、タッチパネルに英語を書きこんでいくのが単純に面白い。内容はひたすらディクテーションだが。ただ、(私はプロなので当たり前だが)手応えがなさすぎ。まあそれはないものねだりとして、どこぞの高校か中学でこれを使って教育効果を挙げたそうだが、さもありなん。これだったら喜んでやるだろう。(大学で使ってみたいかも。)

8月10日

 帰京。帰りの新幹線の中ではほとんど寝ていてくれたので楽だったが、駅からの道が混んでおり、普通なら30分くらいでつくはずが1時間以上バスに乗る。

 ちなみに、うちの双子の覚えている芸は以下の通り。

・拍手
・名前を呼ぶと、「ハーイ」(とは言わないが)手を挙げる
・バイバイ
・「いくつ?」と聞くと、人差し指を出して「一歳」と(言いはしないが)答える。まだ一歳じゃないけどね。
・大人が「いやいや」と言うと、首を横に振る。

 そしてこれらを、バスの中やエレベーターの中で誰彼構わずやってみせます。双子というのはこういう時に得で、お客様の反応が大変よろしい。帰りのバスの中でも、ふと気づくととなりに立ったおばさんにバイバイしてたり。

 ところで、今回帰ったときに改めて気づいたのだが、帰省したときに、実家の玄関から入るようになったのはいつからだろう。大学に行って田舎を離れるまでは、もちろん勝手口に靴を脱ぎ散らかして上がっていた。おそらく郷里をはなれて以来ずっとだろうけれども、帰省の際には玄関から招じ入れられるようになった。

 別に他人行儀になっているわけでもなく、帰省すればリラックスしてだらだらとしているのだが。ただ、玄関は子供のころ家の中でも一番行くことの少ない場所であったのは確か。ひょっとすると私の両親は家を出た息子を玄関から招じ入れることに何らかの儀式的意味を与えているのかもしれないがそれは考えすぎである可能性も高い。何にせよ、実家がいつの間にか、玄関を通って入る場所になったこと、これに、いい歳して気づいたわけです。