メディアの現在と(未来)

 土日は激しく過ぎていった。

 土曜は、私がずっと関わってきた、NHK番組改ざん事件に関する書籍の出版記念シンポ@同志社

番組はなぜ改ざんされたか―「NHK・ETV事件」の深層

番組はなぜ改ざんされたか―「NHK・ETV事件」の深層

 あれからもう5年。その5年間、何が良くなっただろうか。メディアのいい加減さにはあいかわらずあきれかえる日々。直近では先のセンター試験だとか、ホリエモンだとか。ホリエモンを散々持ち上げて商売していたメディアが、手のひらを返すように人格攻撃に走って反省がない。恥を知れ。

 NHK問題に関わるうちに新聞やテレビのマスメディアに関わる人びとに多く知り合うことができたが、それを通じて分かったことは、とにかく現場は単純に「分かっていない」。情報のソースを確かめて記事にするといったような基本的とも思えることが、ほとんど行われず、官公庁の記者発表をそのまま引き写すだけ、というのが現在のマスメディアの主要な仕事になっているのだ(もちろん、そうではない良心的な個人はいるが)。

 それには個人の問題もあるのだろうけれども、特に新聞では部署が定期的に変えられてしまい、ひとつの問題について深く追求することができないといった構造的な問題もあるらしい。記者クラブ制度もしかり。

 私のような一介の大学教員に出来ることは、公的な言説を編むことだけではなく、いやそれよりむしろ、日々の教育でそのようなメディアに対するリテラシーを育てることだと改めて認識。