ぞうさん帝国

 気づけば水曜日にはブログを書いていない。3コマ+会議でぐったりしてるからだな。本日は久々に会議のない水曜日。

The Novel and the Menagerie: Totality, Englishness, and Empire

The Novel and the Menagerie: Totality, Englishness, and Empire

 先月のイングリッシュネス文献解題的な話の文献表に、これは入るのかなと思いつつ、単にまだ手に入っていなかったので入れなかったのだが、ようやく届いて他に読むべきものがあるにもかかわらずパラパラ斜め読み。

 うーん、流行りだなあ、これ。Baucom, Esty, Kallineyの流れ。帝国(ブリティッシュネス)とイングリッシュネスの相克を、現代にいたることろまで通時的に、かつ「全体性(の表象)」という視座で論じていく手続き。この本の場合、その通時性をつらぬく縦糸は、題名にあるとおり動物園(と、訳すとちょっとずれるか。マナジェリー。動物の見世物)。

 帝国の全体性表象が確立した19世紀から、その全体性にひびが入る20世紀初頭という図式自体はもうくり返されているので、あとは個々のテクストの読みの説得性か。扱われるのはサッカレー、ギャスケル、ディケンズ、アーノルド・ベネット、フォースター、ウルフ、アンジェラ・カーター、ラシュディジュリアン・バーンズ

 ここに、キプリングはなぜ入ってこないのかしら? と、イントロだけしか読んでないが思う。

 それはともかく、2002年、エリザベスII世在位50周年記念の、ロンドンはイースト・エンドで行われたパジェント(ブリキの象がねり歩いた)の逸話から説き起こすあたりは巧み。

 とりあえず、職業柄、ウルフの章から読むとしよう。