出ました

 ようやく、無事、出ました。初の単著となります。詳しい目次は下記の通りです。

序 章〈田舎と都会〉という文化
 

 第I部 20世紀の〈経験〉

第1章 田舎者の英文学――レイモンド・ウィリアムズと文化の地図
 1 『三四郎』の地政学
 2 レイモンド・ウィリアムズと経験の地図
 3 経験の分断と分断の経験
 4 「二重視」という感情構造
 5 反イニシエーション小説としての『ボーダー・カントリー』

第2章 『闇の奥』から『クラッシュ』へ――20世紀における認識地図の変容
 1 『闇の奥』のモダニズム
 2 『結晶世界』と冷戦構造
 3 時間性の終焉
 4 『結晶世界』から『クラッシュ』へ


 第II部 モダン・モダニズム・世界

第3章 都市の農夫――ホープ・マーリーズと遊歩者のユートピア
 1 ホープ・マーリーズとは誰か
 2 フラヌール詩としての『パリ』
 3 春の祭典
 4 都市の農夫

第4章 都市と田園のテクノロジー――歩く『ダロウェイ夫人』
 1 老婦人の謎
 2 都市を歩く
 3 田舎を歩く
 4 アーバン・パストラルと「新たなイングリッシュネス」
 5 都市と田園の「結婚」

第5章 『ハワーズ・エンド』とグローバル・イングランド文化の出現
 1 モダニズム交通機関
 2 『ハワーズ・エンド』と自動車の勃興
 3 田舎と自動車
 4 バンガロー・キプロススエズ

第6章 未来派から遠く離れて――ウルフ・未来派空劇マニフェスト芸術
 1 飛行機・ウルフ・未来派
 2 ブルームズベリーという「前衛」とポストフォーディズム
 3 ポスト・サフラジズムとメタ・マニフェスト


 第III部 文化と自由の系譜学

第7章 メタ・メタカルチャーとモダニズムの緩慢な死
 1 「文化」をめぐる争い――1930〜33年
 2 縮小する島
 3 「少数文化」と人類学的転回
 4 イギリス領ホンジュラス問題と二つの帝国

第8章 二つの文化と反転された革命
 1 「二つの文化」
 2 文化批評とメリトクラシー
 3 底の抜けたメリトクラシーソーカル事件と反転された革命
 4 別の系譜――成人教育とメリトクラシー
 5 成人教育の「危機」と文化と社会の分離

第9章 デモクラシー・メリトクラシー・女性の暮らし
 1 承認/再分配のジレンマ
 2 要求者組合
 3 自分自身の部屋と500ポンド
 4 「連邦の守銭奴たちよ、団結せよ!」

 
終 章 ユートピア的テクストとしての批評


参考文献一覧
あとがき
索  引

 かれこれ10年以上にわたって書いた論文をなんとか一冊に纏めたという風情で、不十分なところばかりが目につくわけですが、個人的には前に進むためには纏めなければならない、という感じです。

 とはいえ、この本はこの10年、私が「英文学研究者」として直面してきた様々なジレンマ(英文学研究者って何だよ?というのも含め)との格闘をそのまま記録したようなものになっており、それが少しでも一般性を獲得して、現在文学や文化を論じるというのはどういうことなのかについて、何らかの貢献ができればと願っています。

 思うところはたくさんありますが、あとは本文に語らせることにします。