ちゃんと歴史

 久々にゆったりとした週末。学会も終わったので好きな本が読める! と意気込んでいろいろ開いては閉じ、開いては閉じ。集中力なし。

 学会で、文学史とその歴史的区分は、それ自体本質的ではないと嗤うことはできても、私たちの認識をかなりの程度支配していることは否定できないと痛感。歴史学プロパーはどんな感じなのかしらとこの本を入手。

A Companion to Early Twentieth-Century Britain (Blackwell Companions to British History)

A Companion to Early Twentieth-Century Britain (Blackwell Companions to British History)

 'Early Twentieth-Century'とは、1900年から1939年のこと。「戦間期」よりは広くとっているが、多分20世紀初めからではなく、エドワード朝の開始(というより、ヴィクトリア朝の終わり)から第二次世界大戦まで、という意識ではなかろうか(どちらの意味あいにせよ1900年がよけい──1900年ちょうどは19世紀なので──な気がするが)。

 さて、当然通読はしていないが、手っ取り早く最初と最後を読む。イントロダクション、なんじゃこりゃ。イントロの体をなしていない。もっと、編集方針を明確に書いてくれよ。ひたすら、現在の歴史観におけるよりも20世紀初期のイギリスは強国であった、生活水準もよかった、などということが言いつのられている。20世紀イギリス史の定型ナラティヴといえば「没落」のそれなので、反論したいのだろう。

 結びはJohn K. Waltonによる"Britishness"という章。多民族・多文化化した現状もふまえつつ、Britishnessというcontested notion(ideaと言った方がよいか)を概観。でも、どうやら、その観念をがんばって保持することが大事、と、要は近年の「ナショナリティ脱構築」に対するバックラッシュですな。これは。

 全体的には文化史に割かれている紙幅が少ない。政治史と経済史に重点。まあ、上記のような偏りはあるものの、項目別に大きな流れを復習したい時には役立ちそう。