『枯れ葉』(2023)

カウリスマキ監督の「復帰」作。観なきゃ観なきゃと思ってて気づけば終わりそうなので慌てて。

昨日あたりからなぜかメンタルが落ちてたんですが、1時間20分のこの短めの映画を観終わって、すっかり気分が晴れている自分に気づきました。不思議。そんなに「元気が出る」系の映画ではないはずなんですけどね。でもなんだか、感謝です。

カウリスマキらしく、肉体労働者たちの生をコミカルなまでに削ぎ落とした表情とアクションで描く。筋立てもごくシンプルなんだけど、それをここまで見せるのはさすが。ずっと見ていたい、この映画世界にずっととどまりたいと感じさせるのは、先日の『夜明けのすべて』に通じるものがありました。

ところで、主役の2人が初めてのデートで映画に行くのですが、その映画がジム・ジャームッシュの『デッド・ドント・ダイ』なのには笑いました。両監督に親交があるとか、カウリスマキが映画を引用しがちとかあるわけですが(そこで他の観客が「ゴダールを感じた」的な的外れな感想を言っているのは観客やシネフィルに対する毒のあるアイロニーだなと思いましたが)、初デートでその映画かよ、という笑い所。でもその映画でOKであったゆえに、2人の感性が一致していることが強調されるわけですけど。『デッド・ドンド・ダイ』、評判は悪いですが私は好きでしたが。

初デートでとんでもない映画に行くといえば『タクシードライバー』ですね。結果は正反対ですが。引用でしょうか。

デートに適さない映画と言えば、『哀れなるものたち』を何も知らずにデートで観に行って終わった後にお通夜みたいになっているカップルの目撃談を複数聞いてます。

あとはとにかく犬がかわいい。私は猫派ですが、人生で一番かわいいと思った犬でした。あの犬なら飼いたい。