えいご

 双子、文字であれ音声であれ、英語に触れると、「あおー、あわーうー」を連呼する。先日、「パパは部屋で仕事だからね」(書斎は一応立ち入り禁止)というと、「ぼくもしごとする!」(あいかわらずジェンダートラブル)というので、もう使っていないVirginia Woolf, Jacob's Roomの古いペーパーバックを進呈する。だいたい、英語以前に文字だらけの本を見るだけで顔が曇って興味を失うのだが、その時は「ぼくもしごとする!」という気持ちが強かったせいか、妙に集中して読み始める(正確には「見始める」だけど)。で、ひたすら「あおー、あわーうー」と音読。

 つまり、かなりデジタルに、「これは英語である」という認識だけはある、ということですね。「あおー、あわーうー」が"Hello. How are you?"なのかは知りませんが。

 映画について、DVDで観た作品すべてについて書くときりがないので書いてませんが、最近観たもののなかでインパクトのあったものを。例によって、いまさらな感じのも多いですが。

細雪 デジタル・ニューマスター [DVD]

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 これはちょっと残念。やっぱりね、最後の「下痢」というクライマクスが映画版では浮いてしまっている。あの「下痢」が出てくる文脈がちゃんと作れていないというか。貴族階級の没落を象徴的に表すつもりか、大阪の本家に久しぶりに行ったらシロアリがわいているという(原作には確かなかった)エピソードがつけ加えられているが蛇足。まあそのエピソードは原作にもあったかもしれないが、それにしてももう少し、腐っていく日常性の手触りが欲しいというか。

アナザー・カントリー [DVD]

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 これはなかなか。日本の少女漫画の香り。どっちが卵で鶏かは分かりませんが。

マルホランド・ドライブ [DVD]

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 これはこれまで観てなかったのが悔やまれる。この作品、物語に二つの層があるわけで、きっとどっちが「現実」でどっちが「夢」だか確定させることにあまり意味はなく、前半の「ハリウッドの夢」と後半の「ハリウッドの悪夢」のどちらもが「夢」だと考えた方がいいのだろうけれども、驚くべきなのはそのどちらの夢、もしくは物語も、それだけで取り出してみると、この上なく陳腐な物語なのだが、その陳腐な物語を混ぜ合わせることによってこれほど不気味な作品になっていること。陳腐さ=日常性に穿たれた不気味さを描かせたらすごいね。デヴィッド。

 月末締切のエッセイ、本日ようやく着手。間に合うかどうか。いや、間に合わせるんだろうけど、ちゃんと書けるかどうか。制約がない分苦しい。