ああ青春の日々

 まいったまいった。

 学会発表は10回目くらいで、「全てを言おうとするな」という原則は分かっているはずなのだが、あれもこれも言いたいという悪い癖が出てなかなかまとまらない。また1時間くらい喋っちゃったらどうしよう。

 『ダロウェイ夫人』については一度論文を書いているのだが、同じ作品を再論というのは苦しい。前に『波』を再論した時も苦しかった。再論といっても、『波』は卒論で論じたのだし、『ダロウェイ夫人』も修士のころの論文だから、軽く超えられるだろう、と思われるかもしれないが、そうはいかない。読み返してみると、リサーチだとか論文としての書法という面ではむちゃくちゃなのだが、元気いっぱいで面白いのである。当時のような集中力をもって作品に対峙するのは、ちょっとしんどい、と思ってしまう。

 ……という物言いは、ブアトンの青春時代をふり返る『ダロウェイ夫人』の登場人物みたいで、まだそんなに年はとってないだろうという話もあるのだが。