ホープという名の女

 Virginia Woolf Quarterlyという雑誌があって、1972年から1978年まで、3巻12号だけで終わってしまった(んだよね?)雑誌である。

 日本の図書館には2館しか所蔵がなくて、オーストラリアの古本屋で全巻安くそろえているところがあったので注文。届いてみてびっくり。第2巻以降は普通の雑誌の体裁だが第一巻はなんだか、わら半紙に印刷したのをホチキスでとめただけ、みたいな装丁。同人誌?

 なぜこんなモノを買ったのかというと、Hope Mirrleesという作家のParis: A Poemという詩が再録されているからです。この詩は最初、ヴァージニア&レナード・ウルフのホガース・プレスから出版されたもので(1919年)、日本の図書館にはないし、古本でも見つからない。今度調査旅行をするときは必ずやコピーしてくるつもりだが、当面どんな形であれテクストがほしくて。

 今日届いたばかりなのでまだちゃんと読んでないが、この詩、おもしろい。もろアヴァンギャルド詩。フォントが変化したり、楽譜が書いてあったり、いきなり縦書きになったり。熟読すべし。

 ところで、Hope Mirrleesの作品は実はひとつだけ日本語に訳されている。

霧の都 (ハヤカワ文庫 FT 58)

霧の都 (ハヤカワ文庫 FT 58)

 Lud-in-the-Mistというファンタジー小説(1926年)。これはただいま読んでいるところ。

 なぜこの人なのかというと、古典学者・考古学者・人類学者(いつも何学者と呼んでいいかわからない)Jane Harrisonとの深い関係のある作家なのです。Harrisonは晩年彼女と暮らしていた(どういう関係だったかは不明)。ウルフはマーリーズに関してちょっと嫉妬めいたコメントを残してもいる。

 一通り読んでみて、行けそうだったら某狼協会の例会で発表しようかな、と。そういうわけです(誰に語りかけてんだ?)。ほとんど事務連絡でした。

 あ、あと、先行研究はほとんどなさそうなんですが、もしご存じならご教示ください。