死を忘れる

 kicaさんのところから拾ってきました。大橋洋一『現代批評理論のすべて』インタヴュー。ほほ。面白い。『すべて』のことはともかく(『英語青年』書評ってそんなに悪意があったかなあとは思いつつ)、文学部の未来についての所見は的確だと思う。文学に興味を持っている学生は多い。しかし(就職に不利とかいう神話のせいで)文学部に来ようという学生は減っている。これは既定路線。自らの死を否定し続けて「文学部に来る学生を増やす努力」をしても、それは戦略的に正しくない。そこで出てくるのが「学内カルチャーセンター化」。いかにも死を否定したい向きには反発を喰らいそうなネーミングを故意にしているのだと思うが、実際、文学・文化研究にあり得る道はこれだろう。

 というか、これまでもそうだったのである。文学部にかぎらず、他の学部・学科の英語は英文学科出身の教員が教えてきたのだから、文学研究というのは、常に半身は「学内カルチャーセンター」でやってきたわけで。「学内カルチャーセンター」という一見挑発的な言葉は、そのあたりまえの部分を直視しましょうというメッセージだろう。