- 作者: 表象文化論学会
- 出版社/メーカー: 表象文化論学会
- 発売日: 2008/04
- メディア: 単行本
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これ、「学会誌」なわけで。こういう形で学会誌が出せるというのは、良いことである。
カトリーヌ・マラブーのインタヴューを。マラブーについては英文学業界に「紹介」したつもりだが、精神分析がテーマの新著、出てたのね。不覚。まあ、でもどうせ読めませんよ、ええ。誰か早く英語か日本語に訳して。
マラブーの受け答えのうち、脱線に属する「思弁」についてのくだりが一番面白かった。「科学」が人間を「解明」していくことはできるだろう、そしてそれ自体は何も悪いことではない。しかし、そのように解明された「人間」の「データ」は、当の人間による理解を超えたものにならざるを得ない。そこに、「思弁的語り」が介在することは避けられない、と。さらには、語りと人間との関係は、マラブー自身の用語を使えば「可塑的」なのであって、語りが人間を生みだしていく(というのは、構造主義的な意味、つまり「言語が現実を……」という意味ではなく、内在的なアクションとしての語りがそのアクションの地平としての「人間」を生みだすということ)。ならば、人間についての語りである哲学が、そこに介入できないわけはないし、しなければならないと。なんだかこう、楽観的というわけではないのに元気が出る。