第45回新自由主義研究会

 告知です。ずっと懸案だった『資本主義の新しい精神』、ようやく読みます。(一部のみなさんには別の本を読むと予告しておりましたが、事情があって急遽こちらになりました。申し訳ありません。その別の本は次の回に読みます。)

第45回新自由主義研究会


日時:2015年6月7日(日)16:00-


場所:一橋大学国際研究館5階 ゼミ室2


テクスト:リュック・ボルタンスキー/エヴ・シャペロ『資本主義の新たな精神』(ナカニシヤ出版)


担当者:田尻歩、西亮太、佐喜真彩(報告順)


 今回は、リュック・ボルタンスキー、エヴ・シャペロ『資本主義の新たな精神』(ナカニシヤ出版)を読みます。既に本研究会でみてきたとおり、新自由主義に対する批判はすでに膨大な蓄積となりつつあり、実際に一定程度の社会運動や行政における変化をもたらしていることは確認できます。これ自体は重要な前進だと言えるでしょう。ですが、全体として新自由主義を構成するグローバルな市場原理主義はその勢いを減ずることなく、また自己や企業、さらには国家をも同一の「マネジメント」なる統一言語で語る姿勢に関しては、有用な批判がなされていない、あるいはその効果が可視化できるまでにはなっていないと言わねばならない状況にあります。我々の住まう社会は、どうやら自己マネジメントに専心する個人たちのネットワークとしてますます想像されるものになっているようです。
 ボルタンスキーとシャペロは、資本主義を正当化する言説を「資本主義の精神」と呼び、それがいかに変容しつつうまく機能してきたか、言い換えれば資本主義への批判がいかに機能してこなかったか、を整理しつつ、批判(の力)の行方を展望しています。今回の研究会では、ボルタンスキーらの議論を整理しながら、社会制度の改善のみには終始しない「芸術家的批判」や、その批判の真価が問われる「鍛錬éprouve」、さらには「市民体」なる概念を検討し、現在のわれわれの社会をとらえる方途を探ります。