モダニズムの南部的瞬間

モダニズムの南部的瞬間

モダニズムの南部的瞬間

 ご恵贈いただきました。ありがとうございます。そしておめでとうございます。

 じつはもう全部読んでいるのですが、この本はとにかく、「アメリカ南部研究」の人だけではなく、英米文学研究している人はみな読むべき本だと思います。なぜかというに、この本でメスが入れられているのは、日本の英米文学研究の大前提だから。その大前提というのは新批評、それも冷戦リベラリズムを介してモダニズム文学とともに「創造」された新批評のこと。と、言われて、「私は新批評なんてやってません」と断じるのは尚早で、とにかく読んでみてください。

 なにしろ参っちゃうのは、それこそアーカイヴでほこりまみれになりながら頁をめくり倒すという地味な作業を基礎にして、これだけ普遍性のある主題系が論じきられていること。研究、かくあるべし。参っちゃいます。

 ちなみに、対象は全然違うものの、私にとって同じ「精神」――つまり、「めくり倒す」という精神と、それによって自らが立つ歴史性を問うという精神――を持つ本はこちら。

帝国日本の英文学

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