田舎から考える

NHKブックス別巻 思想地図 vol.3 特集・アーキテクチャ

NHKブックス別巻 思想地図 vol.3 特集・アーキテクチャ

 そう言ってるんだからよせばいいのに結局触発されてこれをめくる。

 ひとつめの討議のアーキテクチャ云々は「無」。何が重要なのかまったく分からない。

 ふたつめの討議がすこぶる面白い。東浩紀北田暁大に『滝山コミューン一九七四』の原武史がくわわり、主に「東急的郊外」について。

 以前『滝山コミューン』を読んだときには、感銘を受けながらも妙な抵抗感があり、ここにもそれを記したのだが(こちらこちら)、その抵抗感が何だったのか、よく分かった。いや、非常に単純な話ですが。

 新保守的な東急田園都市線沿線的郊外に比べて、「コミューン」が可能だった西武沿線という対立軸。実際、共産党は西武沿線の団地を意識的にオルグしてきたし、「赤旗まつり」が西武沿線の多摩湖畔で行われていたそうなのだが、これは、どこまでも「東京郊外」的現象なのである。わたしの生まれ育ったような田舎では、まったくあり得ない政治地図なのだ。基本、保守だし。だから、原武史共産党もしくは共産党的なものに対する複雑な感情は、これはもう経験のレベルで共有できないのだ。

 そこからはさらに都市的教養としての左翼、というようなフレーズが頭をよぎったりして。まあ、現在はその東京郊外的リベラル左派の町の典型のようなところに住んでいるわけだが。住んでみて、この前まで住んでいた、やはり左派の強い京都などとはまた違うんだよなあ、などと思いつつその違いはうまく分節化できず。