固有名問題の解決

 昨日は本務校の言語社会研究科のプロジェクトの、招聘講演。カリフォルニア大学アーヴァイン校のDina al-Kassimさんによる講演会。

 今年出る本のイントロダクションにあたる部分だそう。ポストコロニアルアヴァンギャルドを定式化するために提出されるrantingという概念が、わたし自身の最近の前衛・マニフェスト研究と響きまくって面白かった。マニフェスト形式はアヴァンギャルドの重要な言語・芸術形式で、いつか紹介したJanet Lyonはそれをハーバマス的な公共圏の拡大を引きおこす暴力として論じるのだが、ranting(暴言)はそのようなマニフェストが開く空間からもなおこぼれ落ちるゴミ、残滓である、というような話。うーむ、来た来た。とちょっと興奮したが、残念ながら所用でディスカッションが始まる前に退散。でも、帰り際の休憩中にal-Kassimさんを捕まえてPuchnerのマニフェスト論はどう位置づけられるのかなど話す。そこで明らかになったのは、Puchnerは「ぷっちなー」と発音する、ということ。

 本日は英文学会。しかし、開会式(というか新人賞授賞式)に出席したあとは会場を抜けだしてひたすら翻訳その他の打ち合わせ。喫茶店で打ち合わせていたら、業界では知らぬ人のないセンセイが隣に座って、業界では知らぬ人のないセンセイの批判をまくし立てていて苦笑。その喫茶店が関係者で埋まってることは容易に想像がつくだろうに……。

 明日はちょっと聞きたい研究発表がいくつかあるものの、来週へのしわ寄せがこわいので家で仕事。