触発力

 司会のお勤め、終了。勤め上げられたかは別として。

 すでにid:melaniekさんにリポートしていただいているので、つけ加えることもないが、とにかく『革命と反復』についての一定のパースペクティヴをいただけたのが大収穫であった。しかし、飲み会でmelaniekさん自身がおっしゃっていた通り、その読解格子にこのテクストを固定してしまうことの怖さはある。そのような不気味なテクストであるという意味で、メールマンの本は「文学」なのである、という点には大いに首肯する。(その点、あの、のけぞって背骨が折れそうになった質問に関しては、もうなんとも、「鈍感力」ならぬ「人の話を聞かない力」ってすごいなあ、と感心するしかない。)

 私自身としては、アレゴリーと、melaniekさんが析出した「超越論的唯物論」(もしくはアガンベンの「超越論的経験」──実は私としてはこちらの方がしっくり来る)、そしてレイモンド・ウィリアムズの「複眼視」もしくは「二重視」の三つが、どこかで結びついてくるのではないかという予感がした。よく言えば星座的にこれらが配置され、火花をちらしているような直感が、司会をしながらわき上がってきて、しばらく沈思黙考しそうになったのだが司会の役があるのでそれもかなわず。来月はエンプソンをだしにしつつ、そちらの話に持っていこうかしら。いや、エンプソンはだしにするわけではなくて、エンプソンのパストラル(批判)とウィリアムズの批評はかなりクリティカルな形で交差するので、これは必然性をもった論展開のはずだ。一方で、それにもかかわるが永年の宿題であるハイデガーをどうするか。一ヶ月じゃ無理だよなあ。ああ、時間が欲しい。