強調

 「翻訳」カテゴリーがほとんど死亡してますが。というのも、私自身かけ出しにすぎないし、翻訳の才能も飛び抜けてあるわけではないと思っているし、技法的なことはいろんな人がいろんなところで書いたり言ったりしているだろうし。

 でも、重複を恐れずちょっとしたネタをば。

 というのは、最近読んだ翻訳本で、英語では斜字体で強調されているところを、そのまま字義的に傍点をふっているものがあり、非常にストレスを感じた。よくあるのが、be動詞が強調されている文章に関して、「……である」(傍点は付けられないので太字で代用。以下同)とやってしまうパターン。一体何が強調されているのか分からない。

 で、処理方法としては、be動詞が強調されている場合は、傍点ではうまくいかないと思う。「実際」や「事実」などの文言を使うか、文章全体の「感じ」でいくしかないかと。

 それ以外の処理の法則としては、「英語で強調されている前後も傍点をふってしまう」というものだろうか。分かりにくいので例を挙げる。最近やった翻訳の中から。文脈がないのでちょっと分かりにくいでしょうが、resistanceという言葉の説明です。

Not only is resistance conducted by individuals, it is experienced within the self too.

 これを例えば、

抵抗は個人によって遂行されるのみならず、自己の内部で経験されもする。

とするのではなく、

抵抗は個人によって遂行されるのみならず、自己の内部で経験されもする。

とする、ということ。ちょっと例が悪いかしら。でも、下の方がいいというのは分かっていただけるだろうか。

 同じパターンでよくあるのは、"A and B"は「AB」ではなく「AとB」とするなど。