再び告知

 というわけで、二週間後のを告知しておきます。

日本演劇学会分科会・西洋比較演劇研究会七月例会

《小シンポジウム》
アクション・複眼視・〈経験〉──レイモンド・ウィリアムズと演劇/小説研究

司会・講師 大貫隆史  招待講師 河野真太郎
ディスカッサント 北野雅弘 山下純照
『文化と社会』、『キーワード辞典』などで知られる、イギリスの批評家・作家レイモンド・ウィリアムズをめぐる研究が、ふたたび活況を呈しつつある。2006年のウィーンにおける、ウィリアムズをめぐるカンファレンスの開催(論集が本年出版予定)、遺族より未刊行資料の提供を受けたウェールズの歴史家、D・スミスによる伝記の出版(A Warrior’s Tale, 2008年5月刊行)などが、その証左といえるだろう。とはいえ、こうした新潮流において見逃されがちな側面があるのも確かである。そこでは、ウィリアムズが演劇に関する論文や著作を数多く執筆していたことや、彼の演劇研究を抜きにしては、その小説・小説論を考察し得ないことなどが、看過されてしまうことになるのだ。別ないい方をすれば、ウィリアムズの著述において演劇と小説は、それぞれ独立した形式というよりは、いわば相互に浸透しあう形式となっているわけだが、昨今のウィリアムズ研究ではそこが「盲点」となってしまっている、ということでもある。この小シンポジウムでは、こうした状況に介入すべく、ウィリアムズの演劇論三部作(特にModern Tragedy)をめぐる議論、小説(特にThe Volunteers)・小説論をめぐる考察を展開し、アクション、複眼視、〈経験〉といった鍵語に焦点をあてていくことを目標としたい。さらにこれは、演劇研究が小説研究に鍵語を提供する可能性を探る作業、つまり、小説研究の方法論を演劇研究に応用する、という構造主義以降における支配的潮流の外部を探求する作業ともなるだろう。(大貫記)

司会・講師プロフィール(おおぬき たかし)
専門は戦後イギリス演劇研究。近年はとくに、1968年世代の劇作家(ヘア、エドガーなど)、及びレイモンド・ウィリアムズの演劇論についての考察に力点を置いている。東京大学大学院人文社会研究科博士課程単位取得退学。現在、釧路公立大学准教授。

講師・プロフィール(こうの しんたろう)
 専門は20世紀イギリス小説、批評理論。特に戦間期の文学と批評の言説を研究対象としてきたが、近年はレイモンド・ウィリアムズの批評と小説作品に関心を寄せている。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。現在、京都ノートルダム女子大学専任講師。

ディスカッサント・プロフィール (きたの まさひろ)
 群馬県立女子大学教授。文芸学・演劇学。 「アリストテレスの喜劇論」「ギリシア悲劇と現代演劇(1) シェクナーのDionysus in 69」「ソフォクレスアンティゴネ』の二つの埋葬」。

ディスカッサント・プロフィール(やました よしてる)
 演劇美学およびドイツ近現代専攻。「シラー『ヴァレンシュタイン三部作』にみる「演劇と美学」」「演劇の映像化:複製概念との関わりで」「演劇美学の脱近代:試論」「上演はいかに想起されるか」「ジョージ・タボリ『記念日』の創作過程にみるユダヤアイデンティティーの構築:最終場の決定と解釈をめぐって」。千葉商科大学教授。


日時:7月26日(土) 午後2時より6時まで
会場:成城大学(2号館1階会議室予定)