唯物論のユーモア

 用事があって繙く本ばかりで、なんとなく手にとって本を読むということをしばらくしていない。

 というわけで古本が手に入ったのでなんとなく開いた一冊。

ジンメル・エッセイ集 (平凡社ライブラリー)

ジンメル・エッセイ集 (平凡社ライブラリー)

 訳文にも助けられ、ジンメルの思考の手触りが心地よく響いてくる。把手、橋と扉、額縁などの周縁から本質を紡ぎ出す手つきには、意外なことに「ユーモア」が感じられ、こういう類のユーモアは唯物論には欠かせないのだよなあ、などと考えながらページをめくっていたら、なぜか花田清輝の名が頭をよぎり、そういえばこの人もこの類のユーモアの人だよなあ、そういえば最近古本で見つけた『花田清輝著作集』全巻、全てを放り出してこれだけ持ってどこかの山奥に籠もって読めたら至福のひとときだなあ、と考えているうちに明日から本格的に授業開始。