可能性主義

Geomodernisms: Race, Modernism, Modernity

Geomodernisms: Race, Modernism, Modernity

 引き続き、読む。

 今日はJessica Berman, "Modernism's Possible Geographies"。

 19世紀終盤からの地理学言説を整理し、determinismとpossibilismという二系統を析出。前者はダーウィニズムの影響も受けつつ地理的環境が人間を一方的に決定するというもので、後者は人間が環境に働きかけ、様々な可能性を取捨選択していくという学説らしい。

 その上で、ジョイス、リース、ウルフ、スタインを論じていく。基本的には、それぞれの作家の地理的想像力におけるpossibilismの契機を析出するという形で。

 しかし、ウルフの『オーランドー』論にはあまり説得されないかなあ。非常にリベラルな読解に落ち着けているような。