楽しい研究発表

 ウルフ協会例会。

松井かや「シルヴィアの死──ダロウェイ夫人の『再生』をめぐって」

 『ダロウェイ夫人』におけるパストラル的なものの恢復、それもセプティマスというダブルに仮託した恢復という王道のテーマであるが、クラリッサの妹のシルヴィアの死、そして「木」という視点から、テクストを精読しつつ論じるのが斬新。「木」という論点はかなりの広がりを持っている。ロマン派のみならず、今回の私の発表でも論じたフレイザーらの人類学言説、またこれは調べないと分からないが同時代の「エコロジー」運動との関係は?など。

河野真太郎「ウルフが嫉妬した女──ホープ・マーリーズ、都市遊歩者ユートピア

 すんなり準備できたと書いたが、これほど準備も発表も楽しい研究発表は初めて。卒業パーティー以来「エンターテイナー・モード」に入っている私としては、お客様に楽しんでいただけることが至上命題だが、それも果たせたものと思う。これから論文化するにあたっての課題としては、(1)テクストを集める(2)いかなる構成にして提示するか(このマイナーな詩を、他の正典的作家との関係でどう位置づけるか) というところだろうか。

 三次会まで飲む。京都に住んでるくせに、東京から来た方にいろいろな店を紹介してもらう。

追記:例会の報告はこちらにも。