ダンカイ

 『英語青年』7月号をちらっと覗く。

 『現代批評理論のすべて (ハンドブック・シリーズ)』の書評が目当て。内田樹と共著も出している(下記参照)、難波江和英さんによる書評とあって、半分楽しみ、半分びくびくしながら。あの、あり得ないタイトルについての軽い言及の後、全体的には好意的ながら、多分色々言いたいことがあるんだろうな、という感じ。傾聴すべきは文体に関する意見だろう。要は、文体がちょっといかついんじゃないの? ということ。理論は一時期の「卓越化競争」が終わって、今はそれをいかに噛み砕いた、身体化された形で伝達するかという段階にある。しかしまあ、あれですよ。そういう文体は執筆陣の「若さ」と相容れないわけで。

 特集は「文学史の現在と未来」。時間がなかったので最初の富山太佳夫さんの文章を読む。最後のあたりで、「不幸なことに、団塊の世代文学史と文学部、そして学会の結合の恣意性に直面した」(ちょっと、文言はうろ覚え)という記述があり、首をひねる。なぜここで「団塊の世代」? 普通、こういう風に世代を語るときは上の世代に対する反旗であったり恨み節だったりするのだが、その様子もないし。よく分からない。読解力不足か。なんにせよ、そのような浮世離れした内省に悩むことができるのが団塊の世代ならば、うらやましい世代である。

現代思想のパフォーマンス (光文社新書)

現代思想のパフォーマンス (光文社新書)

 追記:『すべて』であるが、私の大学が100冊買い取って、入試説明会(高校や予備校の先生対象)で宣伝に使ったそうだ。かなりの勢いで「売れ」たとの報告。