更新が少々滞りましたが。金曜は会議、あとは翻訳校正。土曜はウルフ協会例会。井上美雪氏の、奨学金制度についての発表は勉強になった。ウルフの『灯台へ』に出てくる、チャールズ・タンズリーという人物は、労働者階級(下層中産階級?)出身であるが、どうやら奨学金を受けて立身出世している。典型的な階級上昇者。
19世紀後半から20世紀前半は、階級移動というモチーフがイギリス小説に頻出する(その多くは階級移動しようとして破滅するパターン──ジュードに始まり、レナード・バストやセプティマス・スミス)。奨学金制度は階級移動を具体的に可能にした制度なわけだが、それは「平等な機会を与える」という理念のものではなくて、「優秀な者をピックアップして国力を高める」という、社会コントロールを目的とするものだった。ゆえに奨学金=福祉制度ではなく、全く逆にリベラリズムの制度だったということ。
階級上昇物語を系統的に論じた本。思いつくのはこれくらいか。いまひとつだった記憶がある。他にいいのがあったら教えてください。
- 作者: Ariela Freedman
- 出版社/メーカー: Routledge
- 発売日: 2003/04/01
- メディア: ハードカバー
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で、例によって朝まで飲み+カラオケ。
その結果、本日は昼過ぎまで寝てようやく活動開始。届いたCDを聴きながら。
- アーティスト: 小島麻由美
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2006/03/15
- メディア: CD
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