授業3コマ、会議2つの合間に、これを読み始める。
Never Had It So Good: A History of Britain from Suez to the Beatles
- 作者: Dominic Sandbrook
- 出版社/メーカー: Little Brown Uk
- 発売日: 2006/05/01
- メディア: ペーパーバック
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3月末の研究会のテクストだが、これの続編と合わせて1500ページほどに及ぶので、ちびちびと読み進めようと思って。
とりあえず100ページほど読んだが、語り口とエピソードのおもしろさで読ませる類の本である。まずはthe swinging 60sというイメージを、『チャタレー夫人』裁判をめぐる神話と実像を肴に粉砕。この手つきが面白い。逆に、まじめな歴史家には評判悪いんだろうな。
最初の数章は、スエズ戦争から始めて、政治家の人物像を軸に展開するのだが、いかんせん私はこの手のナラティヴに興味が持てない。この乗りでずっと続くのであれば、ちょっとキツイかも。
トールキンは案外面白い素材かもしれない。私、『愛と戦いのイギリス文化史』でちょっとネタにしたのだが、明らかに有機体的イングリッシュネスを志向する一方で、反核運動の座右書にもなったり。Sandbrook本では、50年代後半から60年代の保守的気風と、「ホビット」の保守性の呼応が指摘されている。
T. S. エリオットが王室に呼ばれて『荒地』を暗唱し、時の皇太后が「'Desert'とかいう意味不明な詩を銀行員風の男が暗唱して、噴き出しちゃった」などと書き残しているというエピソードにちょっと萌えた。ぼちぼち読んでいくとしよう。