マザコン再び

レオポルド・ブルームへの手紙 [DVD]

レオポルド・ブルームへの手紙 [DVD]

 ジョイス専門の同僚に借りて観る。ブルームさんが望まれない息子に「レオポルド」という名前をつける話。そりゃあねえ。ウチの娘にモリーという名をつけたら、そりゃ嫌がらせですよ。いや、日本人にモリーはないから、ナオミとか? (全国のナオミさん、すみません。クレームは谷崎さんにお願いします。)

 それはともかく、やけに美しく、構成も巧みであった。主人公のスティーヴンとその現在時の文通相手の少年、そして現在時と並行して描かれる「レオポルド・ブルーム」の物語、この三者の関係が実は最後まで曖昧なままにされ、スティーヴンの主観の中での、文通相手の少年と自分の少年時代が幻想的にまざりあう。(ネット上のレビューをざっと見ると、この構成がすでにして理解できなかった人が多いみたい。)

 しかしまあ、マザコン話という意味では妙に『めぐりあう時間たち [DVD]』とかぶったなあ。マザコン話というか、母への憎しみ+ミソジニーアメリカの物語の強力な動力源となっていることを再確認。