圧力

 東京高裁が、NHKのETV2001シリーズ「戦争をどう裁くか」の改変問題についての裁判で、NHKに200万円(番組の制作会社2社にもそれぞれ100万円)の賠償金支払いを命じた。このブログではあまり書いてこなかったが(ウェブでこういう話題について書くと荒れるので)、私はこの件をずっとフォローしており、この判決は非常に重要なので書いておく。

 ETV2001という名の通り、すでに6年前の番組である。裁判というものは時間がかかる。どうせこの後は最高裁だけど。

 改変については、現在政府の要職にある自民党議員の「圧力」があったと噂され続けていた。今回の判決は、NHKの落ち度を認めるものであるが、政治家の「圧力」が直接に番組の改変につながったとまでは述べておらず、NHKの制作者が政治家の「中立公平にね」という言葉を過剰に読み込んで直前の改変を行ったとしている。

 しかし、「圧力」って元来そういうものではないのか? 政治家が、「あの件、よろしくな」と言えば、その言葉の受け手は「あの件ってどの件でしたっけ」とか、「よろしくって、どうよろしくすればいいので?」などと反問することなく、粛々とその意図を実行する。圧力とはそういうものだろう。いざ事が表面化しても、当該の政治家は「いや、よろしくと言っただけで、あそこまでしろとは言わなかった」と言い逃れができる。

 ともかく私はテレビ放送局の中ではNHKだけが観るに足ると思っているので(民放にもまともなジャーナリストが居ることは知っているが、個人の問題ではなく組織、構造の問題として)、この際膿を全部出してがんばっていただきたいと思っている。