どうぶつスペクタクル

 視覚論濫読シリーズその2。

見るということ (ちくま学芸文庫)

見るということ (ちくま学芸文庫)

 ジョン・バージャー。1926年生まれ。美術批評家にして小説家・脚本家。恐ろしい名著である。とりあえず、第一章の「なぜ動物を見るのか?」に圧倒され、めまいを覚えるべし。翻訳で30頁あまりのエッセイに、「人間と動物」の人類史が詰め込んである。

 動物を見るといえば、最近は「タマちゃん」を嚆矢とする「場違い動物フィーバー」が盛んであったが、あれは動物園というスペクタクル形式のいわば裏面としての暴動のようなものなのだろう。「場違い動物」の多くは自然環境の変化が原因なのだから、たとえば里に下りてきて人を襲う熊も、「タマちゃん」的スペクタクルの対象になったっておかしくないのに、そうはならない。

 そういえば昔、私の実家の屋根裏に、スズメバチの巨大な巣ができて、なんとローカルテレビでニュースになった。よほどその日は話題がなかったのだろう。ちなみに私はよく蜂にさされていて、スズメバチ2回(一度は後頭部、一度は腕)、アシナガバチ1回(額)、ミツバチ1回(足)という記録を保持している。