悲しかったことその2

 発表準備をツメツメでやっている時に限って必ず起こる悲しい出来事に、自分が新発見としてしゃべろうと思ったことがとっくに論じられているのを発見するというのがある。というか、単なる勉強不足なわけだが。で、

  大石俊一『「モダニズム」文学と現代イギリス文化』(渓水社、1979)

 「モダニズム」研究者として、この本を読んでいなかったことには恥じ入るほかない。「モダニズム」研究の信頼すべき出発点ということになるので、今度の発表には足しになりこそすれ、悲観することもないだろうけど。というか、モダニズム=cosmopolitanismからモダニズム以降=provincialismそして福祉国家へ、という「断絶」のナラティヴに反論するわけだから、批評すべき先行研究ということだ。うん(勝手に納得)。というか四半世紀前にこんな本が出ているのに、日本の「モダニズム英文学研究」はその間何をしてきたんだろう、と思わなくもない。

 福祉国家云々というテーマは、やっぱり50年代まで視野に入れるべきだろうか。この本もあることだし。

Literature, Politics And Culture In Postwar Britain (Continuum Impacts)

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