大学院のゆくえ

 大学院入試。なぜか定員を充足しそうな勢い。

 91年といえば私自身はまだハナタレ高校生だった。その91年の「大綱化」にホイホイ乗っかって、全国の大学は大学院を設置してきたわけだが、当然その大学院教育は「悩ましい」以外の何ものでもない。

 東大京大ならともかく、「出口」をどう確保するのか、問題はこれにつきる。

 良心に従えば、学部を卒業したばかりの学生を大学院に迎えるよりは、長年英語教育にたずさわって来て、改めて勉強し直し、修士号も欲しいというタイプの学生を迎える「成人教育」に活路を見いだすべきだと思う。そうでないと責任持てない。

 大綱化で思い出したのが、この本。

「勝ち組」大学ランキング―どうなる東大一人勝ち (中公新書ラクレ)

「勝ち組」大学ランキング―どうなる東大一人勝ち (中公新書ラクレ)

 とんでもなく軽薄なタイトルであるが、このタイトルは内容を表現していない。読むべきは東大教養部解体の経緯を追ったルポルタージュ。どこでこんなこと調べた? と思うような、固有名や情報が満載。文体は「これ、なんてプロジェクトX?」という感じ。