『エマ』再論

 昨日の夜ふとんがずり落ちていて、震えながら起きたせいか、風邪気味。明日も業務なので、しっかり寝て治さなきゃ。

Emma                                                                       ` (Oxford World's Classics)

Emma ` (Oxford World's Classics)

 本日は文学概論で『エマ』の続き。エマが自分の欠点に気づき、ナイトリー氏への「真の愛」に目覚める直前、彼女はハリエットとナイトリー氏の縁組みの可能性について次のように考える(本が手元にないので引用は違うかも)。

Such an elevation on her side, and such a debasement on his!

 elevationとdebasementはもちろん階級の話であり、物語上「改心」をとげ、「ハッピーエンド」に向かうエマも、あいかわらずこの独白に表れているような階級無意識を抱き続ける。

 いや、それどころか、この独白は前半でハリエットを結婚によって階級上昇させようとしたこととは完全に矛盾するものであり、むしろここで起きているのは、エマの階級意識への「目覚め」であるといえる。そしてエマのような階級にとっての正しい階級意識とは、階級の保存への意識にほかならない。物語はこのような「階級意識への目覚め」が「真の愛への目覚め」によって覆い隠される形で終焉を迎える。

 ……ということを、思いっきり噛み砕いて話す。「ほら、結局さあ、エマって自分の好きな男取られそうになった時だけ、ハリエットの玉の輿の邪魔するじゃない? 感じ悪いよねー」みたいな。いや、もう少し堅いか。