煙草への鎮魂歌

 また、スキンを変えちゃいました。黒はなんだか暗くて。しかも、パソコンのモニターの埃が目立つ。

 季節感のあるスキンにしたいのですが、どうも冬らしいものがなし。オリジナルの写真など使えるようにして欲しいな。

ニコチアナ

ニコチアナ

 「煙草」を主人公とする小説というのは、他にないのではなかろうか。

 あるのかもしれないが、現在煙草がおかれた状況(=没落)を主題としたものはこの作品をおいて他にはないだろう。

 どうやら時代設定は現在だが、「五分後の世界」的な、アナザー・ヒストリーとしての近未来小説になっている。産業小説のようなタッチで始まるかと思えば、やがて主題は「煙草=近代」という壮大なところまで広がっていく。白人による植民地主義の歴史と煙草、魔術的なものと科学的合理性の閾にあるものとしての煙草。

 どのような「五分後の世界」なのかといえば、「ハチェット」という無煙煙草が発明され、それがシガレットにとって代わる、という設定。いや、そんなの発明されたら、飛びつきますよ。

 主題と設定のおもしろさで読み進めてしまうが、正直後半は誤魔化された感じがしないでもない。

 ところで、ごく細部に関してツッコミを。廣瀬という嫌煙家の植物学者の独白。

 「日本の大学は、喫煙者が優勢だから、廣瀬はアメリカにやってきた時、日常生活の中で他人の煙を吸い込まずにすむ暮らしを天国のようだと思った。」(231頁)

 これ、事実誤認。日本の大学において喫煙者は劣勢です。