ポウイスよ、お前もか

 昨日は学祭二日目。午前中は警備、午後はぶらぶら。夕方からまたメインイヴェントの警備。結局二日間フル参加した感じ。疲れた。

 にもかかわらず、今日は会議。ああ、もう。

The Meaning of Culture

The Meaning of Culture

 ポウイスは『グラストンベリ・ロマンス』や『ウルフ・ソレント』(翻訳あり)で知られる(というか、知られていない)、モダニズムの「裏街道」を行く作家であるが、1929年にこの『文化の意味』という評論を書いている。

 同時代には「文化」をめぐる言説が氾濫しており、特にイングランドではT・S・エリオット、F・R・リーヴィスといった作家・評論家たちが知られているが、このポウイスの著作は、そのような同時代の言説との関係で面白い。

 ポウイスは「文化/教養のある人間」(the cultured)と「教育のある人間」(the educated)を区別する。この区別はMatthew Arnoldのphilistinism批判以来の伝統だと言えるし、同時代ではF・R・リーヴィスの「少数文化」対「大衆文明」の区別に相当する。

 The educated/Philistines/mass civilisationはいずれも増大する中産階級(正確には下層中産階級?)の文化の「浅薄さ」に対する批判の言葉。30年代においては「高級文化」がそれに駆逐されることに対するあせりが加わる。

 またポウイスは、断片的な、「ショック」的な認識を有機体的全体にまとめ上げることができるのは「文化/教養のある人間」であって、それが「単に教育を受けた人間」にはできない、とする。「ショック」を全体にまとめるのが「観想(contemplation)」であることも注目される(これについては先のウルフ協会シンポで中山さんが論じたばかりだし、モダニズムとの関係もにおわせる)。

 まあなんとも、こいつも同じ事を言っていたか、という感じ。1930年前後の「メタカルチャー言説」の重要な一冊に登録すべきだろう。