リストラ選挙

 衆院選が公示、えらく選挙が「盛り上がって」いる。

 争点になっているらしい郵政民営化構造改革であるが、その構造改革を英語にするとしたら、それはrestructuringだろうか。つまり、リストラ。

 いまさら述べるまでもなく、同じ事態もつける名前によって大きくそのイメージを変えるものである。「選挙公約」はいつの間にか「マニフェスト」になったが、その狙いとは「公約」という言葉の拘束性を逃れるということだろうか。

 さて、現在国家的リストラの対象になっているのは公務員である。その方向性自体に積極的に反対する理由は見つからない(自分が準公務員的な職業についているということを除いては)。

 いや、JR尼崎線の事故の本当の「原因」が国鉄の民営化にあったといった視点がメディアで完全に抑圧されていることは言っておいたほうが良いだろうが、それとは別に、これから日本は小さな国になるのだから、それ相応の小さな行政府にするのは当たり前だろう。

 それを行う上での心配事がひとつ。

 玄田有史氏は、中高年の「リストラ」が問題視される中、真の問題はそこにはないということを見事に論じてみせた。昨日「雇用構造」と簡単に書いたことだが、私企業が雇用調整をする際に頼ってきた主な手段とは、実は「クビ」にすること(いわゆる「リストラ」)ではなく、新規採用を抑制することだった。

 だって、今働いてる人間をクビにするより、そもそも雇っていない人間を雇わない方が、「目立たない」んだもん。「不当解雇」はあっても、「不当不雇用(?)」はないし。

 なんだかんだ言って年功序列制が生きている中、中年〜壮年の社員をクビにしないためには、2〜3人の新規採用を抑える必要がある。全体の人件費を削減するためにはもっとたくさん。必然的に職を得られない若者が大量生産される。

 今後(すでに起こっているかもしれないが)、公務員およびそれに準じる業種において、同じ事が起こるだろう。なんて事、選挙の争点にも浮かばなければ、将来的にも問題にされることはないだろうけど。