安心するB級の香り〜『アトラス』(2024)

しばらく、というか一ヶ月ご無沙汰してしまいました。

この間、なんだか流行っている変な風邪に感染して一度は声が全く出なくなり、二週間を棒に振り、治ったと思ったら(多分)ウイルス性胃腸炎で倒れ、五月の記憶がありません。

と言いつつ、この一ヶ月は書き下ろしの著書の一冊の執筆がゾーンに入っていたので、それ以外の文章を書く欲も湧かなかったということもあり。その間、映画や小説などに触れていなかったわけではありません。

直近で観たのはNetflix配信の『アトラス』。ジェニファー・ロペス主演で、かつてAIと人間のシンクロの技術が原因でAIが反乱を起こし、人間が大きな損害を負ったものの、AI軍団はなんとか退けられて宇宙のどこかに雲隠れ。その反攻を恐れて地球の防衛システムを構築する人間たち。だが、AIの領袖「ハーラン」の居所を突き止めた人間たち。ハーランの開発者の娘アトラスはハーラン討伐の部隊に同行することになる……。

という「前史」は、最初の10分で(?)説明され、物語の本体は、ハーランが潜む惑星にアトラスが、AIの搭載された超高性能パワードスーツのみで不時着し、AIを拒絶しながら(彼女は過去の事情からAIとのシンクロを拒絶する)ハーランの探索をするという部分であり、物語のかなりの部分はアトラスとAIの「スミス」との間の漫才で費やされる。

設定は色々と凝っていて映像もNetflix配信なのでそういうクオリティなのですが、なんでしょうか、この拭いがたいB級感。結末も全部、期待通りの流れで、1980年代くらいのSFパニックアクション映画を観た感覚。なんだか安心(笑)しました。

母がすでに死んだ優秀な科学者パターンというのは『エヴァ』とか『ひるね姫』とか、これもあるあるな感じ。

安心しました。