近刊二点

 12月中に関わった本が二冊出ますのでご紹介。

未来の考古学 第二巻――思想の達しうる限り

未来の考古学 第二巻――思想の達しうる限り

 フレドリック・ジェイムソンのSF・ユートピア論の下巻です。半分くらい訳しました。上巻はユートピアの「理論」という感じでしたが、下巻は古いものからかなり新しいものまで、SF論の集成となっています。私が訳した中ではやはりジェイムソンのヒーローであるフィリップ・K・ディック論がハイライトでしょうか。ただ個人的には比較的古いブライアン・オールディス論やA. E. ヴァン・ヴォークト論も好きです。

文学研究のマニフェスト ??ポスト理論・歴史主義の英米文学批評入門

文学研究のマニフェスト ??ポスト理論・歴史主義の英米文学批評入門

 大胆なタイトルですが大まじめです。大学院生、場合によっては学部生を対象とした批評の教科書として編まれています。ポスト理論・ポスト歴史主義を謳っていますが、ではより積極的には何かと問われれば、「政治的批評の可能性」を問う本だということになるでしょうか。ただし、政治的批評を現在言うためには、文化と社会の分断という難問に答えなくてはならない、というのが私の担当した第II章の話です。