年末の固め打ちイヴェントが終了。
日曜は新自由主義研究会。なんだか本ブログの前のエントリーが暗いのことをご心配いただく。世の情けに感涙、かと思ったら、どうやら心配というよりは、日頃ふてぶてしいshintakが落ち込んでるのがうれしいということらしい。私だって一介の人間、浮き沈みはありますよ。人間宣言。
そんなことはともかく、研究会は『帝国の文化とリベラル・イングランド―戦間期イギリスのモダニティ』の合評会であった。最初の二章を担当した私は、世紀転換期に生じた「市場か国家か」という、自由に関する二項対立が、アンチファシズム、アンチ共産主義によって強化され、世紀転換期に胚胎していた市場と国家以外を根拠とするリベラリズム体制=「第三の道」のさまざまな思想が抑圧=排除をこうむった、という読み筋を提示した。ご本人は、執筆当時のブレア政権による「第三の道」イデオロギー(上記の「第三の道」の堕落形態)への時局的な意識があったということで、これはすばらしい。
合評会というと場合によっては単なる褒め殺しか、そうでなければ褒めておいて返す刀で粗探しみたいになるが、今回の合評会は奇跡的に建設的だったと思う。この本をどう受容し、位置づけるかというのは私たちに突きつけられたチャレンジだろう。
次の日はTAGTAS FORUMで関曠野さんの講演会。大盛況。大筋、4月にインタビューでうかがった話題であり、それが講演というまとまった形で聞けたことはよかった。また、日本に西洋近代的な「暴力国家」の概念が輸入・移植される前の国家(江戸時代以前)はじつのところ法を根拠とする暴力は少なく、むしろ文化が国家統合にとって重要だった(江戸時代の「ポップカルチャー」や芸能の系譜)という指摘、インタビューの際に伺って実はあまり呑み込めていたなったのだが、今回でよく分かった。かなりヤバい話ですけどね。芸能という時点で天皇制が入ってきますので。しかし関さんはそういうところを突きぬけちゃう。やはりすごい。
昨日はイギリス文化史教科書の編集会議。いよいよ佳境か。
そんなこんなでもう年末。しかしひさびさにまとまった時間があるのでたまった仕事を片付けるぞ、とか思っちゃってる自分がいやでしようがない。本当によくないと思う。休みに休まないのは。日本も後期資本主義が成熟したとかいうなら、成長を前提としたワーカホリックはやめにして、少々貧しくても休みは休んで文化的に暮らしたいというような感情が、もっと支配的にならないかなあ。若い世代は結構そういう乗りになっているのではないか。そこに希望を託したい。さて、年賀状書こう。