ご恵贈いただきました。ありがとうございます。
- 作者: テリー・イーグルトン,大橋洋一,小林久美子
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2010/05/25
- メディア: 単行本
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この本(講演録)、基本的に、イーグルトンによる「現代版二つの文化論争」である。主題は宗教と科学ということだが、基本としてリチャード・ドーキンス『神は妄想である』への批判があり、そのドーキンスがソーカル的な口調で「おフランスのポストモダン理論」を嘲笑する人物となれば道具立てはそろっているというべきだろう。この前のシンポで述べた、ハクスリー=アーノルド論争、スノウ=リーヴィス論争、そしてソーカル事件の系譜をイーグルトンがどう料理するか(って、まだ本文読んでないので)。
ともかくも、議論がリベラリズム問題へと収れんするのは当然の成り行きである。20世紀、リベラリズムの資源となったのはコミュニズムと宗教である、と断言してもよかろう。「資源となる」というのは、リベラリズムがこの二つで成り立っているという意味ではなく、コミュニズムと宗教の否定によってリベラリズムは自己を正当化してきたという意味だが。*1科学はそのリベラリズム(非政治性という政治性)の急先鋒でありつづけてきたわけである。
そんなこんなで、「二つの文化」論争を重視してきた身にとっては、かなり重要な本になりそう。
*1:つまり、冷戦から「文明(=宗教)の衝突」へにいたるまで、ということなので、21世紀になってもあいかわらずそう。