愛蘭

 昨日の晩は夏バテらしきだるさで頭がまったく働かなくなり、こんな時は受動的に映画でも観るか、と、コイツを。

 うーん、ケン・ローチよ、名作だねえ。良い意味でも悪い意味でも「名作」。文句のつけようがないかわりに、あまり記憶に残らない気もする。いや、直球勝負で骨太であるだけに、じわじわと後から来るのかもしれないが。

 鉄道の運転手から義勇軍に身を投じるダン役のリーアム・カニンガムが渋くてよい。初めて見た人なので何者かと思って調べてみると、1961年ダブリン生まれで、20代終わりころに電気工から役者になった人。映画に出始めたのは90年代。『日陰のふたり(日陰者ジュード)』に出てますな。

 現在、『ダロウェイ夫人』をあーでもないこーでもないとやっているところに、まずい映画を観てしまった。アイルランドで血が流れている時に「六月のロンドンってサイコー!」もなかろう、などと、みもふたもない発想になってしまう。でも、冒頭部の、皇太子に花を投げたいと思うが警官の視線を感じて止めるアイルランド人のおばあさんとか、気になる人物もいるな。