ポスト68/ポストエディプス

1968年 (ちくま新書)

1968年 (ちくま新書)

 年末年始で仕上げようと思っている論文のために、脳科学関連と「ポスト1968年」関連を濫読。

 すが秀美のこの本、私が正当に評価できるとも思わないが、かなり示唆を与えられた。「7・7華青闘告発」を結節点とするマイノリティ運動→陣地戦への展開、べ平連による「市民」神話の生成、そしてなんといっても、結論部の内ゲバ論。すでに失効した規律/訓練をパロディ的に徹底化するシニシズムとしての内ゲバというのは、私が今回の論文で取りあげようとしているジジェクの言うポストエディプス状況そのものの話ではないか。すでに無効となり、その空虚をさらけ出したエディプスに対する反乱(革命)の身ぶりは、ひたすら演劇的で過剰たらざるを得なくなる(ただし、すがの評価するハート/ネグリを、ジジェクは批判しており、その理由はまさに二人がポストエディプス時代にエディプス的批判をしている、というものなのだが)。

 それとは別に首肯した細部は、「学生消費者主義」の話。サークルや自治会による組織化という規律/訓練システムが失効した後に、大学という資本の消費者としての学生が現れたということ。そこでは学生はマーケティング対象として定量化されて監視/管理される。何というか、現在の大学での日常的経験にしっくり当てはまる記述。