- アーティスト: KOKIA
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2006/02/01
- メディア: CD
- 購入: 2人 クリック: 78回
- この商品を含むブログ (83件) を見る
KOKIAの楽曲はYouTubeで聴いていたのだが、さすがに気後れがしてCDを購入。許して。オペラ歌手の卵出身(って、なんだそりゃ)、それはもう歌のうまい歌手なのである。ただ、私はいつも歌のうまい歌手には警戒してしまう。うますぎてつまらないことが多いのだ。むしろ下手くそな方が味があるということが往々にしてある。この歌手についても、今後、歌がうまいことだけを売りにせず、方向性と「味」を出していってほしいのである。
ところでそのYouTube、完全なる著作権侵害が堂々と行われ続けているわけだが、いつまでの命だろうかと勝手に心配してしまう。音楽の著作権の問題になると、例えばサンプリングについて、「まあ、いいじゃん」くらいで済ましておけばいいものを、「著作権という出版資本主義の根底を批判する革命的音楽」みたいな評価をされても、どうも、なのである。
それと同類の意見を最近の事象から取りだしてみるなら、2ちゃんねるの例の「ギコ猫」問題。タカラやAVEXが批判されたのは、著作権という資本主義の論理の外側で楽しくやっていたのを、企業が独占して稼ごうとしたためだった。
こういった、サンプリングについての学術的議論や、2ちゃんねるでの祭りを見ていて痛感するのは、「今、私は資本主義の外側にいるのだ」という幻想がいかに麻薬的な快楽か、ということ。
いい大人ならば、「経済活動ではないこと」をするのがいかに困難か、骨身にしみているべきだ。朝起きてから夜寝るまで、労働者としてであれ消費者としてであれ、経済活動に属さないことが少しでもあるか考えてみればすぐに分かることだ。
というわけで、著作権の問題については私は保守派。「コピーレフト」などと口にする人間は、著述以外でも食っていける学者か、すでに一生食っていけるだけ稼いでしまった音楽家である。