どっちもどっち

 ゼミ三回生の卒論ネタに勧めようかと。前期のゼミでやった「ロミジュリもの」のもうひとつの現代版ですな。

 もはや「おじいさん」のケン・ローチだが、よくもこんな瑞々しい映像が撮れるものだ。

 『ベッカム』だとか『ぼくの国』だとか、一連の移民もので気になっていたのは、移民家族の「伝統」が主人公たちの恋愛や自己実現の妨げとなり、物語に不可欠な「コンフリクト」を提供するとして、それが移民の生活の「保守性」や「前近代性」の表象を強化してしまうのではないか、という点だったが、この映画では、「イスラムカトリックも、どっちもどっち」という仕掛けになっている。残念ながら物語の結末は「両成敗」にはなってないけど。(だから、カトリックの側のコンフリクトをもう少し前面に出して、何らかの「解決」をして欲しかった。)

 移民もの映画といえば「あれ」をまだ観てないなあ。近々。