やばいやまい

赤い砂漠 デジタルリマスター版 [DVD]

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 「現代人の孤独」だとか「現代という病」というような飲みこみやすい言葉で飲み下されそうな映画だけれども、前もここで似たようなことを書いた気がするが、病のことを描くのに病気の人を出してどうする、という問題がある。確かに、この執拗な無機質感(もしくはプラスティックな感じ)、それも登場人物たちまでを飲みこむような無機質感はすさまじいものがあるのだが。前のエントリーの話題にも通ずる話だが、「病について描く」ことと、「病において描くこと」が両立しているのかどうか、言いかえると本当の意味での病の日常性にこの映画が達しているのかどうか、問うべきはこの点である。問いだけ立てて退散。