- 作者: Slavoj Zizek
- 出版社/メーカー: Granta Books
- 発売日: 2006/09/04
- メディア: ペーパーバック
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相変わらずのジジェク節。リサイクルも含め。「象徴界」「想像界」「現実界」をチェスに例える(もちろんソシュールのもじりだが)のって、これまでどこかで書いてたっけ? 曰く、象徴界=チェスのルール、想像界=「キング」だとか「ポーン」といった属性を駒につけること、現実界=プレーヤーの実力やゲーム中の条件など、偶発的要素。やっぱりどこかで言ってたかな。ちょっとこじつけ臭くはあるが、入門者への説明ネタとしてはまずまず?
序論がいきなり「精神分析の死」という話。またしても脳科学に対する危機感をあらわにする。ただ、ジジェクの脳科学、というか「第三の文化」への理解は実のところかなり皮相なのかもしれないと思う。
それより、このHow to Readシリーズはちょっと面白いかもしれない。狙いとしては、思想家の紹介といえば大まかなバイオグラフィと中心概念の紹介などが相場であるところを、そうではなく、具体的なパッセージをどう読むかということに主眼をおく、というもの。ジジェクの本も各章の最初にラカンから長めの引用があり、ジジェク節を読んでいくうちにその引用の意味が溶解していくという感じ。ラインナップも興味深い。例えば、
How to Read Marx
How to Read: Freud
この辺はまあ、いいとして、こんなのもある。
また、文学もあるかと思えば、
How to Read Shakespeare
How to Read Joyce
こんなのも。
How to Read the Egyptian Book of the Dead
入門書シリーズの刊行が活況を呈している中、なかなかに特色あるシリーズである。そのうち、某シリーズみたいにエライ先生が筆頭となって訳されたりするかな。