ダモ鈴木は今

 なんて言われても、ダモ鈴木って誰やねん、と仰るだろう。

 1960年代後半から70年代にかけて、ロックといえばブリティッシュ・ロックが支配していた中、ドイツにおいて異物的なロックの潮流が起きる。その後の「プログレ」や、以前触れた現在の「ポスト・ロック」または「音響派」にまで影響を及ぼし続けることになる、いわゆる「クラウト・ロック」である。

 その代表格がCanというバンドであるが、その初期にヴォーカルとして参加していたのが、Damo Suzukiである。最高の名作は、Future Daysであろうか。

Future Days

Future Days

 以前音響派ロックの話で書いたように、メロディラインを軸に構成された音楽ではなく、空間的かつ即興的なロックである。

 私はもちろん、これをリアルタイムに受容したわけではない(だって、生まれが70年代だし)。大学時代に、ポスト・ロックから源流をたどってたどり着いた。

 昨日Bon Joviについて、「このおっさんたちもすごい」云々と書いていて、そういやダモ鈴木は今どうしているんだろうと思い立つ。で、ソロで活動を続けていました。すでに50歳代であるが、Damo Suzuki's Networkという、決まった形のバンドではないのだけれど、その時に応じてダモ鈴木の知り合いを集めて即興演奏するプロジェクトで、世界を飛び回っております。かつては確かスキンヘッドだったが、現在は蓬髪を振り乱し、なんとか教の教祖のようないでたち。

 この「謎の日本人」がどうやってCanに加入したのか。これまで不覚にも知らなかったが、次のようなインタビューを発見(現在のダモの写真も見られます)。

http://music.kansai.com/sp_live/index_041202.html

 ダモは、世界放浪中にミュンヘンのストリートでハプニングをやっており、そこでCanのメンバーに見そめられたのだ。ハプニングというのは(詳しくはパフォーマンス専門家にゆずるところであるが)その名の通り、「偶然性」を重要な要素として取り入れた芸術。1960年代の話である。音楽ではジョン・ケージがその源流であろうか。

 今となっては、あの「異議申し立ての時代」ゆえに盛り上がったものとして、懐かしく(というか、そのころ生まれてもいなかった私には懐かしくもないのだが)ふり返られる種類の実験芸術である。ダモ鈴木の即興性のルーツはここにあったのだ。

 ちなみにCanのメンバーで他にソロ活動を続けているのが、Holger CzukayとIrmin Schmidtである。どちらも一頃は愛聴していた。

Good Morning Story

Good Morning Story

Impossible Holidays / Musk at Dusk (Reis)

Impossible Holidays / Musk at Dusk (Reis)

 以上、ちょっと「なつかしモード」の日記でした。